2019年8月26日
相手の親から、釣書を交換しましょうと言われたら、どうしたらよいのでしょうか?あまり耳にする言葉ではないので、戸惑う方も多いかもしれません。
そもそも「釣書」(つりがき・つりしょ)とはなんでしょうか?
釣書は「身上書」(しんじょうしょ)ともいうもので、自分のプロフィールを書いた自己紹介書のことです。
本来は縁談やお見合いの仲介をしてくれる人に対して写真と一緒に渡し、「このような人物だが結婚相手にどうでしょうか」と相手に紹介していただくものです。
ですが、恋愛結婚の際にも両家で交換することがあるのです。家族書(親族書)という家族のプロフィールを書いたものも併せて渡すことがあります。
釣書を交換する、交換しない、というのは地域や人によって考え方が全く異なります。
今回は、恋愛結婚の場合に、相手や相手の親、自分の親に釣書や身上書を交換しましょうと言われた時の対応や、もし釣書や身上書を交換する場合、何をどのように書けばいいのか、どのような手順で交換すればいいのかについてご紹介します。
釣書っているの?
恋愛結婚で釣書や身上書を交換することは必ず行わなければならないというわけではありません。
関東では身上書、関西では釣書と言うことが多く、習慣として関東より関西で釣書を交換することが多いようです。自己紹介書程度の場合は地域を問わず、親世代は「一度聞いても覚えられない」「どんな人かプロフィールを知りたい」と考える人も多いため、自分を相手の親に知ってもらうためにお互いに持参したり交換したりするカップルもいるのです。
釣書は賛否両論
恋愛結婚で釣書を渡すというのは、環境によって考え方・受け取り方は人それぞれ。場合によっては摩擦を生じかねないので慎重に扱う必要があります。
肯定的な意見
・基本的な情報交換(本人に面と向かって聞いたり、覚えていなくて後から何度も聞いたりしづらいので書面で情報をもらいたい)
・メモ程度の自己紹介・家族紹介として交換したい
・手紙や贈り物のやり取りのために、名前や住所を確認したい
・結婚するという事は両家が親戚になるということなので、お互いに親やきょうだいのことについて確認したい
・冠婚葬祭時に顔を合わせるのであらかじめ知っておきたい
などがあげられるようです。
否定的な意見
・学歴や宗教などデリケートな内容を含むため、釣書を交換するのに抵抗がある
・内容次第で結婚を認めない、という意味があるのではないかと思って不安
・釣書を相手に要求することは、本籍地を書くよう求める部落差別だ
・いまどき、恋愛結婚なので交換しましょうと言われて驚いた
などがあげられるため、安易な気持ちでは行わず、十分に気を配る必要があるのです。
両家で十分なすり合わせを行ったうえで
釣書や身上書を出す、出さないというと大ごとのような印象を受けるかもしれません。あくまで「親戚になる上での基本的な情報交換」として考え、自己紹介書を用意するのがよいでしょう。そして一方が用意するなら、必ずもう一方も用意しましょう。
また、交換する場合は両家の意見を十分にすり合わせて慎重に進める必要があります。
例えば、どこまで書いて渡すのか、すり合わせが不十分だったために、「一方はおじやおばまでとても詳しく書いたのに、あちらは親ときょうだいだけ簡単に書いてきて気まずかった」ということもあるのです。
同じ形、情報量で用意することが望ましいので、新郎新婦がしっかり間に入って「どのタイミングで、どんな内容を交換するのか」すり合わせておきましょう。特に、釣書を交換したい、と一方が言い始めたときは、どんな内容を交換したいかを明確にしておいてくださいね。
渡すタイミングって?
相手の親へ結婚の挨拶に行ったときに渡す場合がもっとも多いでしょう。相手の親への挨拶はただでさえ緊張するもの。ですがそれは親も同じで、相手の親も、自分の子どもが結婚したいという相手のことは気になるものの、根掘り葉掘り質問ばかりするのは気が引けるものです。
そこで、釣書に生年月日や仕事、趣味のことがあらかじめ書いてあれば、それをきっかけに名前の由来、両親やきょうだいなど家族のこと、今の仕事のこと、休みの日の過ごし方など、互いに話がしやすくなりますね。
家族や親族について書いた「家族書」「親族書」は本来今後のお付き合いのために結納の場で交換するものです。ただ、結納を行わないときは、結婚が決まった後の両家顔合わせの時に交換することが多いです。渡すときは、一緒に家族で撮った写真も同封すると、自分の家族の雰囲気を伝えることができますよ。
釣書・身上書の書き方
書く内容
シンプルに書く場合
・自分の姓名(ふりがな)
・生年月日
・現在の住所
・現在の仕事
・趣味
シンプルに書く場合は、これくらい簡単な内容でOKです。
趣味について書いておくことで親への挨拶のタイミングで話題作りにもなりますよ。
詳細を書く場合
・自分の姓名(ふりがな)
・生年月日
西暦または和暦 〇年〇月〇日と書きましょう。
・住所、学歴、職歴、現在の勤務先
中学校卒業以降の学歴・職歴・現在の勤務先(会社名・部署名など)まで書きましょう。
・資格
特別な資格や免許以外は細かく必要はありません。なければ書かなくても大丈夫です。「こんな資格を持っているんだね」といった話題のきっかけになることがあります。
・趣味
・そのほか
病歴、お金の借り入れ、宗教など結婚生活に関わることがあるものは、必ずしも釣書に書く必要はありませんが、マナーとして口頭で早めに伝えておきましょう。
特にお金に関わることは相続関係や借金など、本人同士だけではなく親・きょうだい・親戚にもかかわってくることなので、伝えておくのがベター。
家族書・親族書
家族書
・二親等までの家族の名前(続柄)
同居している場合は祖父母も書きます。
・住所
親族書
・名前(続柄)
祖父母、きょうだい、おじ、おばのなど三親等まで書きます。
・住所
家族書、親族書は、結納や顔合わせの会などにおいて、家族の紹介だけではなく、お互いの家族が話したり質問したりするきっかけにもなります。
お互いに目の前で確認するので、書く内容はごく簡単な項目だけでいいでしょう。
一般的に最低限の内容はご紹介した通りですが、家や環境によっては家族の最終学歴や勤務先、役職などを書く人もいます。そこまで詳しい内容を書くことや知らされることをよく思わない人もいますので、各内容についてはお互い相違がないようにすり合わせておくといいでしょう。
親せきの名前(漢字)や生年月日は、結婚後に冠婚葬祭で顔を合わせるときや、進学や誕生日などにお祝いを渡すとき、結婚報告や年賀状のやり取りなどの際に役立ちますので、正しい漢字で記入しておきましょう。
書き方
正式には和紙に筆で書くものですが、恋愛結婚において釣書や家族書などを書く場合は、便箋や上質紙に手書き・PCどちらで書いてもOKです。
手書きの場合
書くもの…黒の万年筆・ボールペン
用紙…便せんや上質紙
向き…縦書き
見本をPCで作成したり、下書きをしたりしておくと失敗しづらくなりますよ。漢字は略字を使わず、正しい字で書きましょう。
PCの場合
最近はPCで作成した方が書きやすいし、読みやすい、という理由からPCを使って書く方も増えてきています。マナー的には問題はありませんが、家や親によっては「手書きで書くものだ」と思っている人もいるかもしれませんので、PCで書いても問題がないか相手の親に確認をしておくのがよいでしょう。
字体…明朝体
用紙…上質紙、A4またはB5
向き…縦書き
ふりがなが必要な場合は、印刷後に手書きで付け足してもOKです。
折り方と封筒
最初に読む部分が上になるように三つ折りにします。
封筒は白無地で、郵便番号枠がないものを選びましょう。
封筒の大きさは、用紙に合わせて変えましょう。
用紙がB5横三つ折り…長径4号定型(90㎜×205㎜)
用紙がA4三つ折り…長形3号(120㎜×235㎜)
表書きはなし、封筒はのりづけしなくてもOKです。
いかがでしたか?釣書や身上書、家族書などを書く場合は、両家で書く内容をすり合わせることが一番重要といえるでしょう。
すり合わせが不十分でトラブルにならないように、新郎新婦が間に入って内容を合わせておきましょうね。
用意する場合は、ぜひ参考にしてみてくださいね!